町県民税(個人住民税)に係る主な税制改正
令和5年度(令和6年度)からの主な改正点
上場株式等の配当所得等に係る課税方式の統一
上場株式等の配当所得等については、これまで所得税と個人住民税で異なる課税方式を選択できましたが、令和6年度から所得税と個人住民税の課税方式を一致させることとなりました。
そのため、所得税で上場株式等の配当所得等を確定申告すると、これらの所得は個人住民税でも所得に算入され、配偶者控除や扶養控除などの判定、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、介護保険料などの算定に影響が出る場合があります。
国外居住親族に係る扶養控除等の見直し
日本国外に居住する30歳以上70歳未満の親族について、次のいずれにも該当しない場合は、扶養親族等の適用及び個人住民税の非課税限度額の適用から除外されます。
- 留学により非居住者になった人
- 障がい者
- 扶養控除等を申告する納税義務者から、前年における生活費又は教育費に充てるための支払いを38万円以上受けている人
令和5年度(令和4年分)からの主な改正点
住宅ローン控除の見直し
主な改正点
- 入居に係る適用期限が4年間(令和4年~令和7年)延長されました。
- 控除率が0.7%に引き下げられました。
- 控除期間が新築住宅等は原則13年、既存住宅は10年とされました。
- 借入限度額について、既存住宅を含め、住宅の環境性能等に応じた上乗せ措置が講じられました。
- 新築住宅の床面積要件について、令和5年以前に建築確認を受けたものは40平方メートル以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の者に限る。)されました。
- 適用対象者の所得要件が、合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引下げられました。
詳しくは、以下のサイトをご覧ください。
国税庁ホームページ「タックスアンサー(よくある税の質問)」土地・建物(住宅ローン控除等)
個人住民税における改正点
住宅ローン控除可能額のうち所得税から控除しきれない額については、控除限度額の範囲内で個人住民税から控除されますが、個人住民税における控除限度額が次のとおり引き下げられることとなりました。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
居住年 | 平成26年4月~令和3年 | 令和4年~令和7年 |
控除限度額 |
所得税の課税総所得金額等の7% (最高13.65万円) |
所得税の課税総所得金額等の5% (最高9.75万円) |
セルフメディケーション税制の見直し
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の範囲の見直しを行った上で、適用期限が令和9年度課税まで延長されました。
セルフメディケーション税制の詳細については、以下のサイトをご覧ください。
国税庁ホームページ「タックスアンサー(よくある税の質問)」特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
民法改正による未成年の住民税の扱いについて
未成年者は前年中の合計所得金額が135万円以下の場合、個人住民税(町県民税)の非課税措置が適用されます。
令和4年4月1日から、民法改正によって成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、令和5年度の個人住民税(町県民税)からは、令和5年1月1月時点で18歳未満の方が未成年となり非課税措置が適用されます。
令和4年度まで | 令和5年度から |
---|---|
20歳未満(1月1日時点) | 18歳未満(1月1日時点) |
従いまして、これまでは非課税が適用されていた方が、今回の改正により今後の課税年度では課税となる場合があります。
令和4年度(令和3年分)以降の主な改正点
住宅ローン控除の特例の延長
住宅ローン控除の控除期間を13年間とする特例が延長されました。対象となるのは、次の2点を満たす方です。
- 入居期限:令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間
- 契約期限:注文住宅は令和2年10月1日から令和3年9月30日までの間、分譲住宅などは令和2年12月1日から令和3年11月30日までの間
また、住宅ローン控除の控除期間を13年間とする特例の延長分については、床面積要件が40平方メートル以上に緩和されました。
(注意)なお、床面積40平方メートル以上50平方メートル未満については、合計所得金額1,000万円以下の者に適用されます。
住宅ローン控除の特例が適用される要件等について、詳しくは以下のサイトをご覧ください。
特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る申告手続きの簡素化
個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の全部について源泉分離課税(申告不要)とする場合に、原則として、確定申告書の提出のみで申告手続が完結できるよう、確定申告書における個人住民税に係る附記事項が追加されることになりました。(確定申告書の様式が改正されます。)
申告不要とする場合は、確定申告書第二表の住民税・事業税に関する事項における「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄に丸をつけてください。
セルフメディケーション税制の見直し
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品の範囲の見直しを行った上で、適用期限が令和9年度課税まで延長されました。
(注意)令和4年1月1日以降の購入費から適用されます。
令和3年度(令和2年分)からの主な改正点
給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
働き方の多様化を踏まえ、「働き方改革」を後押しする観点から特定の収入をもつ者のみに適用される「給与所得控除」や「公的年金等控除」から、収入の種類に左右されない「基礎控除」に振り替えることとされました。これに伴い、子育てや介護を行っている者などに配慮するため新たに「所得金額調整控除」が創設され、扶養親族等の所得金額要件についても見直されました。
給与所得控除の改正
以下の通り改正となります。
- 給与所得控除額が一律10万円引き下げ
- 給与所得控除額の上限が195万円に引き下げ
- 給与所得控除額が適用される給与収入の上限額が850万円に引き下げ
給与等の収入金額 |
【改正後】 給与所得控除額 |
【改正前】 給与所得控除額 |
---|---|---|
162万5千円以下 | 55万円 | 65万円 |
162万5千円超180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 | 収入金額×40% |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 | 収入金額×10%+120万円 |
850万円超1,000万円以下 | 195万円 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 |
195万円 |
220万円 |
公的年金等控除の改正
以下の通り改正となります。
- 公的年金等控除額が一律10万円引き下げ
- 公的年金等控除額の上限が195万5千円に定めれた
- 公的年金等の収入以外の所得金額が1,000万円超の場合、その所得額に応じて公的年金等控除額が段階的に減額
65歳未満
公的年金等所得控除額(改正前)
公的年金等の収入額 (A) |
公的年金等控除額 |
---|---|
130万円以下 |
70万円 |
130万円超410万円以下 | (A)×25%+37万5千円 |
410万円超770万円以下 | (A)×15%+78万5千円 |
770万円超1,000万円以下 |
(A)×5%+155万5千円 |
1,000万円超 |
(A)×5%+155万5千円 |
公的年金等の収入額 (A) |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: 1,000万円超2,000万円以下 |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: 2,000万円超 |
---|---|---|---|
130万円以下 | 60万円 | 50万円 | 40万円 |
130万円超410万円以下 | (A)×25%+27万5千円 | (A)×25%+17万5千円 | (A)×25%+7万5千円 |
410万円超770万円以下 | (A)×15%+68万5千円 | (A)×15%+58万5千円 | (A)×15%+48万5千円 |
770万円超1,000万円以下 | (A)×5%+145万5千円 | (A)×5%+135万5千円 | (A)×5%+125万5千円 |
1,000万円超 | 195万5千円 | 185万5千円 | 175万5千円 |
65歳以上
公的年金等の収入額 (A) |
公的年金等控除額 |
---|---|
330万円以下 | 120万円 |
330万円超410万円以下 | (A)×25%+37万5千円 |
410万円超770万円以下 | (A)×15%+78万5千円 |
770万円超1,000万円以下 | (A)×5%+155万5千円 |
1,000万円超 | (A)×5%+155万5千円 |
公的年金等の収入額 (A) |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: 1,000万円以下 |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: 1,000万円超2,000万円以下 |
【公的年金等控除額】 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額: 2,000万円超 |
---|---|---|---|
330万円以下 |
110万円 |
100万円 |
90万円 |
330万円超410万円以下 |
(A)×25%+27万5千円 |
(A)×25%+17万5千円 | (A)×25%+7万5千円 |
410万円超770万円以下 | (A)×15%+68万5千円 |
(A)×15%+58万5千円 |
(A)×15%+48万5千円 |
770万円超1,000万円以下 |
(A)×5%+145万5千円 |
(A)×5%+135万5千円 | (A)×5%+125万5千円 |
1,000万円超 | 195万5千円 | 185万5千円 | 175万5千円 |
基礎控除の改正
以下の通り改正となります。
- 基礎控除額が一律10万円引き上げ
- 合計所得金額2,400万円超の場合、その金額に応じて基礎控除が段階的に減少、消失
合計所得金額(給与収入) |
【改正後】 基礎控除額 |
【改正前】 基礎控除額 |
|
---|---|---|---|
2,400万円以下 (2,595万円以下) |
43万円 | 33万円(所得制限なし) | |
2,400万円超2,450万円以下 (2,595万円超2,645万円以下) |
29万円 | 33万円(所得制限なし) | |
2,450万円超2,500万円以下 (2,645万円超2,695万円以下) |
15万円 | 33万円(所得制限なし) | |
2,500万円超 (2,695万円超) |
適用なし | 33万円(所得制限なし) |
(注意)カッコ内は所得が給与所得のみの場合の、合計所得金額から逆算した給与収入額
所得金額調整控除の創設
給与所得控除について、上限となる給与収入が850万円に引き下げられたため、給与収入850万円超の納税義務者は増税となります。そのため給与収入850万円超の納税義務者のうち、子育てや介護を行っている者に負担増が生じないよう「所得金額調整控除」が創設されました。
また、給与所得と年金所得それぞれの控除額が10万円引き下げられたため、両方の所得を有する場合、基礎控除が10万円引き上げられても負担増が生じるケースがあります。このような場合にも、負担増が生じないよう所得金額調整控除が適用されます。
給与収入850万円超の納税義務者のうち、子育てや介護を行っている者への措置
以下の適用条件のいずれかに該当する者の総所得金額を計算する場合、計算式から算出した額を給与所得の金額から控除します。
適用条件
- 本人が特別障害者
- 年齢22歳以下の扶養親族を有する
- 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する
計算式
(給与等の収入金額-850万円)×10%
(注記)給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には1,000万円
給与所得と年金所得両方を有するものへの措置
給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等の雑所得の金額の合計額が10万円を超える納税義務者は、以下の計算式から算出した金額を給与所得の金額から控除します。
計算式
(給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等の雑所得の金額)-10万円
(注意)「給与所得控除後の給与等の金額」、「公的年金等の雑所得の金額」ともに上限10万円
調整控除の改正
前年の合計所得金額が2,500万円を超える所得割の納税義務者については、調整控除の適用対象外となります。
扶養親族等の所得金額要件の改正
給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替により、扶養親族等の合計所得金額要件なども見直されました。
要件等 | 改正後 | 改正前 |
---|---|---|
同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件 | 48万円以下 | 38万円以下 |
配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件 | 48万円超133万円以下 | 38万円超123万円以下 |
勤労学生の前年の合計所得金額要件 | 75万円以下 | 65万円以下 |
寡婦及び寡夫に係る生計を一にする子の前年の総所得金額等要件 | 48万円以下 | 38万円以下 |
雑損控除に係る親族の前年の総所得金額等要件 | 48万円以下 | 38万円以下 |
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額 | 55万円 | 65万円 |
障害者、未成年者、寡婦及び寡夫に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件 | 135万円以下 | 125万円以下 |
【均等割非課税基準における前年の合計所得金額】 同一生計配偶者及び扶養親族がいない方 |
45万円 | 35万円 |
【均等割非課税基準における前年の合計所得金額】 同一生計配偶者または扶養親族がいる方 |
35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+10万円+21万円 | 35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+21万円 |
【所得割非課税基準における前年の総所得金額等】 同一生計配偶者及び扶養親族がいない方 |
45万円 | 35万円 |
【所得割非課税基準における前年の総所得金額等】 同一生計配偶者または扶養親族がいる方 |
35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1) +10万円+32万円 |
35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1) +32万円 |
子どもの貧困に対応するための住民税非課税措置
住民税には配偶者との死別・離婚等により、家族の生計を支えていかなければいけない者に対して、「寡婦(夫)控除」「非課税措置」といった税制上の配慮を行う仕組みが設けられています。
未婚のひとり親はこれらの対象に含まれていませんでしたが、過去の婚姻歴の有無にかかわらず、ひとり親の経済的支援の充実をはかり、子どもの貧困への対応という観点から「非課税措置」の対象に追加されることとなりました。
住民税非課税措置に追加される対象者
児童扶養手当の支給を受けている児童の父または母のうち、現に婚姻をしていない者または配偶者の生死の明らかでない者(前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く)
(注意)「児童」は、父または母と生計を一にする子で前年の総所得金額等の合計額が48万円以下であるもの
(注意)「婚姻」および「配偶者」には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする
(注意)「児童扶養手当」は原則として、支給対象者が事実婚状態にないことを確認したうえで支給対象を決定することとされている
給与支払報告書等の光ディスク等による提出の特例の改正
提出期限の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの間に提出すべき支払調書等(所得税に係る給与所得の源泉徴収票等)の枚数が100枚以上となる場合、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書をeLTAX(エルタックス)または光ディスク等により提出しなければならないこととされました。
(改正前は1,000枚以上。令和3年1月1日以後に提出すべき給与支払い報告書及び公的年金等支払報告が適用)
この記事に関するお問い合わせ先
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電話番号:0266-41-1111
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更新日:2024年02月20日